密教法具とは密教の修法(しゅほう)に用いられる仏具で、一般の仏教で用いる荘厳具(しょうごんぐ)などとは異なり、独特な法具が用いられます。従いまして、これに区別するために法具とはいわず、密教法具といいます。
密教が日本に体系的に伝えられたのは平安時代に入って空海・最澄らが唐に渡って持ち帰ってこられました。密教の大きな特色としては、教理を学ぶことももちろんですが、修法(しゅほう)という実践的な儀礼作法を重要視します。教理を理解し、修法(しゅほう)を行うことにより、宗教的な境地や悟りに近づくとされています。これは鳥の両翼にも例えられ、専門的な言い方で言うと事相(じそう)と教相(きょうそう)といいます。これらの両方を学ぶことが大事とされています。
例えば「五鈷杵(ごこしょ)」は杵の両端が五本の鉾となっていて、三鈷杵と同じように真ん中の一本を中心に他の四本の鉾が内側に向いています。
もともとは武器で、ヴェーダ神話のインドラ神の持物でありましたが、修行者の煩悩を破壊する象徴として密教法具となりました。形状はもともと五叉の鉾でしたが、その武器が形が変容して中央の鉾を中心に四本の鉾が内側に向きました。
鉾が外に向かっている時には他を傷つける武器でありますが、これが内側に向かった時には、煩悩に振り回されることなく自らを制御し、成長させ他に善行をなす行動をとることができることを意味しています。
五本の鉾は五仏(大日如来・阿閦如来・宝生如来・阿弥陀如来・不空成就如来)の智慧を表す五智(法界体性智・大圓鏡智・平等性智・妙観察智・成所作智)(ほうかいたいしょうち・だいえんきょうち・びょうどうさっち・じょうそさち)を表し、五仏は曼荼羅の世界におけるその他のすべての諸尊の根本の尊格でもあります。
鉾先の数によって独鈷杵(とっこしょ)、三鈷杵(さんこしょ)五鈷杵(ごこしょ)などに分類されています。
五鈷鈴(ごこれい)は五鈷杵(ごこしょ)と対に用いられ、頂きに金剛杵(こんごうしょ)を付けた鈴で、五鈷鈴は金剛杵の一方に深い鉢を伏せたような鈴身を作り、中に棒状の舌を釣り下げ、振り動かすことによって舌が鈴身の口縁を打って音を発します。鈴を鳴らすことによって仏様の来臨を願い、悪いものを退散させ、修行者自身を清め仏様を喜んでいただきます。
五鈷鈴(ごこれい)は五鈷杵(ごこしょ)と対に用いられ、頂きに金剛杵(こんごうしょ)を付けた鈴で、五鈷鈴は金剛杵の一方に深い鉢を伏せたような鈴身を作り、中に棒状の舌を釣り下げ、振り動かすことによって舌が鈴身の口縁を打って音を発します。鈴を鳴らすことによって仏様の来臨を願い、悪いものを退散させ、修行者自身を清め仏様を喜んでいただきます。