仏教は周知の事実として約2500年前にインドで生まれました。そしてお釈迦様が入滅された後約500年後仏像が誕生してきました。
仏教の始まりはインドの地からで、その後東の果ての日本にまで仏教が広がっていきました。その土地その土地の仏像が誕生していきましたが始まりはインドとガンダーラ地方です。
インドのニューデリーにある国立博物館をはじめ、インドの各地方の博物館でも非常に多くの仏像を鑑賞することができます。もちろん仏像だけでなくヒンドゥー教の像やイスラム文化の美術なども多くありますが、それも含めて非常に興味深いです。仏像や仏教を勉強する意味で原点となりますので、インドという国を離して考えることは不可能です。
初期の頃は仏陀の像を直接表現することは禁忌とされていたので、直接的表現を避ける像なども鑑賞することができます。
仏像の起源には諸説あるらしいのですが、ギリシアの神像にならって、現パキスタン領のガンダーラ地方で紀元一世紀頃にヘレニズムとイラン文化の影響の強い釈迦像が、仏伝図中の一登場人物としてあらわされました。
初めは釈迦像だけが特別大きく描かれてはいませんでしたが、やがて礼拝の対象としてふさわしい正面向きで立像、あるいは坐像の独立像に発展していきました。この仏教美術はパキスタン北西部を中心としていたので、この地域の古い名前にちなんで「ガンダーラ美術」といいます。
ガンダーラで仏像彫刻が造られ始めたのと同時期に、インド中央部のマトゥラーでも仏像が造られ始めました。この「マトゥラー仏」は「ガンダーラ仏」とは違い、インド文化のなかで生まれました。
仏像の表現は制作された時代・地域・仏師によって違いがあり、その材質や技法も多彩でありますが、「ガンダーラ仏」がその風貌や衣の表現にギリシア彫刻の影響を強く見せるのに対して、「マトゥラー仏」では風貌も純インド的で体つきもたくましい姿でガンダーラの仏陀像とは対照的な作風を示しています。
日本の仏像とインドの仏像を見比べてみるとやはり形や素材に違いがあります。日本では森林素材に恵まれていた理由から木彫仏が多く、石造仏が主流を占めることはありませんでした。仏像の故郷であるインドではそれらの現存するほとんどの仏像が石彫像です。
また日本の仏教は大乗仏教で、大乗仏教の国では、僧侶にならなくても仏教の教えを信じて正しい生活をしていればいつかは悟りの境地に達することができると考えられています。
大乗仏教の影響から菩薩像などの尊像が多く作られ始め、大乗仏教の修行僧たちは現世利益と来世の救済を求める信者に造塔や造仏を功徳として、その行為を仏教僧自ら始めて信者にも寄進を勧めました。