多羅堂の扱っている商品は日本・中国・インド・ネパールといった地域からの物ですが、特にその多くはネパールからのものです。現地に実際に赴いて、これは皆様に喜んで頂けるのではないかというものを必死で探して買い付けております。
私は学生の頃、京都の大学の仏教学科に通っていた時に、研修旅行でインドへ連れて行って頂きました。街の土産店で自分用の土産を探していたのですが、ある仏像が目に留まり、とても綺麗だと思い、しかも手ごろな価格であったので思わず購入してしまいました。
インドの研修旅行から帰国後、早速購入した仏像を部屋に置き、見るたびに綺麗な、穏やかな表情をしているなぁと眺めていました。それからというもの、ふとした時に、なにげなく仏像を眺めるのが日課となりました。なぜか一日の中でふと手を合わせたくなる時もあります。その時に出会った仏像の多くがネパールで造られたものと知り、ずっとネパールに行きたくて、楽しみにしておりました。
初めてネパールに行ったときには、その魅力的な街並みや人々に驚きました。時間がゆっくりと流れ、人々がゆったりと暮らしていました。昔の日本のような雰囲気を感じ、決して裕福ではない方も人生を楽しんでいるように思いました。そしてある街に行った所、その街全体が、仏像の工房のような所で、至る所で「カン、カン」とたがねを打つ音が聞こえたり、貴石を仏像に埋める作業をしていたりと大変魅力的でした。この町から毎日大の仏像が地元の一般の方々をはじめ、僧侶や寺院、海外に納められているという事実に興奮したのを覚えています。
自分自身仏像が大好きで、インド留学を終えて、ちょうど以前から仏像関係の仕事をしたいと思っておりました。仏像は骨董屋さんだけが扱う必要はないのではないかと思いますし、仏像の専門知識を持ち、その拝み方や、それをどれだけ愛しているか、という条件に満たしている人間が扱うべきだと思います。
自分自身その魅力に憑りつかれた人間であるのと、仏像を造っている仏師の方々とお話をしていても非常に純粋な方が多く、仏像制作に対して非常に情熱を持って、真摯に向き合っておられます。この方たちが造る仏像を多くの方に届けたいと思いました。そういった想いで多羅堂は始まったのです。
ネパールの木造仏像については、その多くは郊外の村に住む仏師から仕入れさせていただいております。彼らも2015年4月の大地震で多くの被害を被ったそうです。その村の寺院は倒壊していました。この地震の強震によってネパールでは建物の倒壊、雪崩、土砂災害などにより甚大な被害が発生しました。ネパールの建造物の多くはレンガ積みの耐震性のない脆弱な構造のものが多く、生き埋めになってしまった人々がたくさんおられ、この地震でネパールの人口の約30%にあたる約800万人が被災されたそうです。また歴史的な建造物や世界遺産の寺院などの多くが修復不可能な損傷を受けました。地震から1年以上過ぎましたが、まだまだ完全に復興は進んでいないようです。
多羅堂も皆様に仏像の魅力を知って頂き、魅力的なものを届けることが出来るように精進を重ねていきたいと思っております。そして微力ながら復興のお手伝いを出来るように精進していきたいと思っております。