仏陀であるお釈迦様の故郷であるとされるネパールは、日本から空路で直行便はなく、アジアの主要都市を経由します。片道約8時間半程のフライトとなります。ヒマラヤのお膝元、ネパールでは世界最高峰エベレストを有するヒマラヤ山脈が大迫力でご覧になれます。カトマンドゥはネパールの首都で、標高約1330m、約500万人が暮らしていて、国の政治・経済の中心地です。日本とは違い、一日の半分は停電しています。ネパールには300万以上の神様がいるといわれています。寺院や街角を歩いていると色々な神様が祀られています。仏教の仏様やヒンドゥー教の神様など多様です。日本の仏様と同じ仏様でも姿や形が少し違っていたりします。その違いは非常におもしろく興味深いです。またネパールの同じ仏様でも手が2本だったり4本だったりすることもあります。驚くのはその世界に類を見ない特異な寺院建築や美術品の量です。どこか懐かしいレンガ造りの街並みは中世の世界にタイムスリップしたような雰囲気が漂っています。

ネパールには多くの仏師が住んでいて、毎日多くの仏像が各地に届けられております。その歴史は非常に深く千年以上前から造られてきております。インドやチベットとも関係が深く、チベットから多くの巡礼者がカトマンドゥに訪れたり、仏教美術を学んでいたりしたそうです。そしてネワールの仏教美術や工芸品は、チベットの仏教圏に輸出されるようになりました。
ネパールの仏像は様々な素材で造られます。それは石像、塑像、木像などです。さらに金銅仏の仏像は金属製の仏像のことで、用いられる素材の多くは銅製です。造り方としては「ロストワックス技法」といわれる技法で造られます。ロストワックス技法とは、蝋を利用した鋳造方法の一種で、奈良の大仏もこの方法で造られました。一つの型から一つの仏像しか造ることができないために大変貴重です。
この技法は歴史が深く、古くは紀元前のメソポタミアから始まったとされます。ネパールの仏像鋳造法は、仏教の故郷インドから伝えられましたが、現在は技術が衰えて、ネパールから技術をいわば逆輸入しています。ネワール族は大昔からカトマンドゥ盆地に住み着いていて、都市文明を築いてきました。木彫り技術や金属工芸は世界的にもとても有名です。
ネパールの木造仏像については、その多くは郊外の村に住む仏師から仕入れさせていただいております。彼らも2015年4月の大地震で多くの被害を被ったそうです。その村の寺院は倒壊していました。この地震の強震によってネパールでは建物の倒壊、雪崩、土砂災害などにより甚大な被害が発生しました。ネパールの建造物の多くはレンガ積みの耐震性のない脆弱な構造のものが多く、生き埋めになってしまった人々がたくさんおられ、この地震でネパールの人口の約30%にあたる約800万人が被災されたそうです。また歴史的な建造物や世界遺産の寺院などの多くが修復不可能な損傷を受けました。地震から1年以上過ぎましたが、まだまだ完全に復興は進んでいないようです。
多羅堂も皆様に仏像の魅力を知って頂き、魅力的なものを届けることが出来るように精進を重ねていきたいと思っております。そして微力ながら復興のお手伝いを出来るように精進していきたいと思っております。