仏具は、仏教を修行するための、仏事に必要な器具の総称のことですが、その中の仏具の梵音具(ぼんのんぐ)という種類は、宗教的雰囲気を醸すために鳴らして音を出す道具をいいます。 梵はサンスクリット語のブラフマンの音写で、清浄、神聖を意味します。材質や形状により音に違いがあり、鳴らす回数やその目的によっても使い分けられます。
梵音具(ぼんのんぐ)には様々な種類があり、梵鐘(ぼんしょう)、雲版(うんばん)、木魚(もくぎょ)饒(にょう)、鰐口(わにぐち)太鼓、銅鑼(どら)などがあります。 梵鐘(ぼんしょう)は、釣鐘(つりがね)や大鐘(おおがね)、洪鐘(おおがね、こうしょう)、蒲牢(ほろう)、鯨鐘(げいしょう)、巨鯨(きょげい)、華鯨(かげい)、馨(けい)など様々な別名があります。
除夜の鐘(じょやのかね)は、年末年始に行われる年中行事の一つで、大みそかに寺院の梵鐘(ぼんしょう)を撞きます。多くのお寺では108回撞くところが多いようです。 主に時間を知らせるために打ちますが、単に時間を知らせる役目ではなく、その澄んだ音を聴く者は、苦しみから逃れることができ、悟りに至る功徳があるとされます。梵鐘の功徳については多くの鐘の銘に記されております。 天台寺門宗(てんだいじもんしゅう)の総本山である三井寺(みいでら)の三井晩鐘は、音色の素晴らしさが有名で、日本三名鐘のひとつにもなっています。
木魚(もくぎょ)は読経をするときに打ち鳴らすことで、リズムをとります。 打ち鳴らすと、ポクポクと小気味よい音が鳴ります。
私がまだ子供の時に、今もありますが祖母の仏間に木魚が置いてあり、叩くとよい音をしたのを覚えております。 木魚(もくぎょ)が魚を模しているのは、怠慢を戒める意味もあり、魚は眠っているときも目を閉じないのでかつて眠らないものだと信じられていたことに由来します。 その原型は、魚板という魚の形をした板で、これを叩き鳴らして食事や法要の知らせとしました。魚の口にくわえた丸いものは煩悩を表し、たたくことで煩悩を吐き出させるという意味があります。
銅鑼(どら)は円盤型の打楽器で、中央の膨らんだ所を、布で包まれたばちによって打ちます。法要の際の合図などに用いられます。
鰐口(わにぐち)は寺院の本堂や正面軒先に吊り下げられた仏具で、神社の社殿で使われることもあります。金属製で、鋳銅や鋳鉄製のものが多いようです。
雲版(うんばん)は、楽器が変化して時刻を知らせる仏具になったといわれていて、法要、坐禅、食事などの時刻を知らせるために用いられます。 私が修行中の時に、整列をする際によく鳴らしました。
仏具の中の、梵音具(ぼんのんぐ)という種類は、音を奏でる仏具を指し、合図に用いられたり、供養に用いられたりと、その目的は様々です。そして多くの種類があり、宗派や流派、寺院によって作法や用いられ方、目的など様々なようです。