観光やグルメで人気の国であるタイは仏教国で、日本に伝統的に根付いているのは大乗仏教であるのに対して、タイは上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)(テーラワーダ仏教)です。さらに日本では多くの宗派があるのに対して、タイの仏教は宗派がありません。タイの寺院には多くの仏像が祀られています。
南伝仏教(なんでんぶっきょう)とは南方仏教ともいい、タイ・カンボジア・ミャンマー・スリランカなどの国々に現存している仏教です。上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)や長老仏教(テーラヴァーダ)と呼ばれますが、小乗仏教と呼ばれる場合もあります。しかし小乗というのは大乗仏教側からの蔑称(べっしょう)であります。
特色としては釈迦像だけを礼拝し、お釈迦様の遺骨を祭る仏塔崇拝も盛んです。出家は厳しく多くの戒律を守り、瞑想を行ったり、経典を学んで修行をし、托鉢(たくはつ)するなどして修行者と集団生活をしていて、形式的にお釈迦様の仏教に近い純粋な形を保持しています。
その僧院を経済的に支えるのが在家の信者で、出家者のような厳しい修行はできませんが、出家者に教えを請いて功徳の授かり方など指導を受けたりしています。
現在、タイには約3万の仏教寺院があり、約40万人の僧侶がいるといわれています。僧侶たちは「サンガ」と呼ばれる仏教僧団に所属し、戒律に基づいた厳しい生活を送っています。
お釈迦様(ゴータマ・シッダールタ)は実在した人物ということで、歴史的な偉人として捉えられる事も多く、誕生されてから入滅(亡くなられる時)までの人生の大きな節目に合わせて、それを表現する仏像が作られています。
それを八つの段階にして仏像や仏画で表されるものを「釈迦八相」といい、?「下天」?「入胎」?「誕生」?「出家」?「降魔」?「成道」?「転法輪」?「入滅」(他説有り)とします。
この中では特に、?「誕生」に属する誕生仏、?「降魔」に属する降魔像、?「入滅」に属する涅槃像等が多く見られます。
涅槃像はタイなど東南アジアに多く見られますが、日本では図像の方が多く、毎年二月十五日に涅槃図をかけて、涅槃会の法要が行われます。涅槃図(ねはんず)とはお釈迦様の入滅の様子を絵画的に描いたものをいいます。涅槃像は、お釈迦様が入滅する様子を仏像としてあらわしたものです。クシナガラ城の川のほとりの沙羅双樹の間に入滅されました。仏伝中の重要な一場面であります。寝仏、寝釈迦像、涅槃像とも呼ばれ、主にタイの寺院などで見ることができます。
尊容は右手で頭を支える姿であります。頭は北向き、顔は西向きで、頭北面西(ずほくめんさい)といいます。これが北枕の由来となりました。日本では死を忌むことから、北枕は縁起が悪いこととされ、遺体を安置する際のみ許されていました。
タイと日本では上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)(テーラワーダ仏教)と大乗仏教の違いから拝む仏像の数が大きく違います。タイではお釈迦様だけを拝むのに対して、日本は多くの仏像を拝みます。小乗仏教とは上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)のことですが、大乗仏教が大きい乗り物に対しての小さい乗り物ということをいっているので、あくまで大乗仏教側からの視点となります。