チベットの国にとって宗教は切っても切り離すことができません。そしてチベットの人々の大半は仏教を信仰しています。
チベットは位置的にもヒマラヤ山脈を越えてインドの北隣で、インドの直系の純粋な仏教を受け継ぎ、今日まで守り伝えております。日本の密教は、中国経由で密教が伝えられ、分類をするとインド中期密教の流れであります。それに対して、チベットの密教はインド後期密教の流れをくみ、タントラ仏教とも呼ばれます。
日本とは違い、顕教のみの宗派はなく、全ての宗派が密教を伝えています。
チベットはインドの密教が最後まで忠実に伝えられ、さらに現在もその息吹が残っている所であります。
チベットの仏像は女性のような像を抱いていたりと、奇怪な忿怒尊を思い浮かべる方も多いかもしれません。これは妃を抱いている密教像で、このような像を父母仏(ヤブユム)といい、曼荼羅の諸尊は、この父母仏(ヤブユム)の子供たちであるとされています。
しかし当然のことですが、日本でもなじみの深い仏様も広く信仰されています。釈迦如来や阿弥陀如来、薬師如来、文殊菩薩、観音菩薩など少しお姿が違うだけで同じような尊容の姿が多いです。例えば金剛薩たは密教美術の上で、インド、チベット、中国、日本すべての仏教圏においてほぼ同じ姿をしています。 必ず右手に金剛杵を持ち、左手には金剛鈴を持って左膝の上に置いています。
日本の図像は金剛鈴の開口部が下を向くのに対し、チベット・ネパールの仏像では開口部が下を向くのが一般的です。金剛杵の持ち方も、日本では右手を拳にして胸の前に置き、逆手に金剛杵を持ちますが、現在のチベットの流布図像は、右の掌を胸の前に仰向けて、金剛杵を中指の先で垂直に立てるスタイルです。
菩薩の中では日本や他のある国と同様に、観音菩薩がもっとも信仰を集めています。大黒天は寺院の守護神とされていて色々なお姿のバリエーションがあります。チベットにも多くのマンダラが存在し、布や壁画のマンダラや立体マンダラがありますが、日本には見られない独特なものとしては、僧侶たちが彩色した砂で描く、砂曼荼羅であります。
チベットに密教が伝わったのは8世紀の頃といわれていて、日本に伝わった密教とは多少内容が異なりますが、その密教が現在も生き続けています。
日本の密教は、中国経由で密教が伝えられ、分類をするとインド中期密教の流れであります。それに対して、チベットの密教はインド後期密教の流れをくみ、タントラ仏教とも呼ばれます。
チベット仏教は大きく別けて4つの宗派があり、これら4つの宗派全体の頂点に立っているのが、ダライ・ラマ法王です。ダライ・ラマ法王は最大宗派であるゲルク派に所属しているともいわれていますが、特定の宗派に属することなく、4つの宗派の超越的な最高指導者と位置づけられています。チベット土着の宗教であるボン教を含めると5つの宗派となり、日本でいう神道にあたります。
日本とは違い顕教のみの宗派はなく全ての宗派が密教を伝えています。
チベットはインドの密教が最後まで忠実に伝えられ、さらに現在もその息吹が残っている所であります。
そしてネパールには多くの仏師が住んでいて、毎日多くの仏像が各地に届けられております。その歴史は非常に深く千年以上前から造られてきております。インドやチベットとも関係が深く、チベットから多くの巡礼者がカトマンドゥに訪れたり、仏教美術を学んでいたりしたそうです。そしてネパールの仏教美術や工芸品はやがてチベットの仏教圏にも輸出されるようになっていったのです。