仏教において仏像の名前や名称などは様々な呼び方があることが多いです。また様々な異名を持つことがあります。
インドで生まれた仏教は2500年の歴史を持ち、様々な言語に翻訳されてきました。そして地理的には東の果てである日本にまで伝来し、現在も多くの信者がおられます。仏像の名前はどのようなものがあるかを見てみたいと思います。

お釈迦様の本名であるゴータマ・シッダールタは尊い存在であることから多くの呼び方があります。
釈尊(しゃくそん)という名は釈迦牟尼世尊(しゃかむにせそん)の略称であります。牟尼とは聖者を表し、世尊とは神聖な方をさします。釈迦とは現在のインド・ネパール国境付近にいたシャカ族を漢字の音で写した言葉です。
ゴータマとは最も優れた牛という意味です。牛はインドでは神の乗り物として神聖視されますが、釈迦族では精霊的シンボルとして牛を崇められていたとも推測されます。シッダールタとは目的の成就という意味で、父親の後継者として待ち望まれた誕生であったという理由からか、後世に悟りという目的を成就したという意味でつけられたのかもしれません。
日本では簡略してお釈迦様と呼んでおりますが、仏陀(ブッダ)と呼ばれることもあります。仏陀(ブッダ)とはお釈迦様一人を指すのではなく、「三世十方(さんぜじっぽう)」の諸仏も指します。三世とは過去・現在・未来のことで、十方とはあらゆる方角を指します。つまり全ての仏様はブッダということになります。ブッダはその音を漢字に写して仏陀と記します。
薬師如来は薬師瑠璃光如来といいますが、大医王仏や親しみを込めてお薬師さんと呼ばれます。英語ではmedicine Buddha(メディソン・ブッダ)と呼ばれているようです。medicineとは薬の意味です。
阿弥陀如来はアミターバ「無限の光」アミターユスは「無限の寿命」と呼ばれ、これを漢訳して無量寿如来または無量光如来と呼ばれます。チベット仏教では、無量寿仏と無量光仏は区別されていて、前者はアミターバで後者はアミターユスと呼ばれます。
大黒天はサンスクリット語でマハーカーラといい、摩訶伽羅天(まかからてん)や大黒天神といいます。マハーとは大(もしくは偉大なる)の意味で、カーラは時や黒色、暗黒の意味です。
弁才天はサンスクリット語でサラスヴァティーといい、漢字表記は本来「弁才天」ですが、日本では後に財宝神としての性格が付与され、「才」が「財」の音に通じることから「弁財天」と表記する場合も多く見られます。妙音天(みょうおんてん)、美音天(みおんてん)と呼ばれることもあります。
上記は仏像名の一例ではありますが、このように仏像によって色々な呼び方があります。原語やその意訳、異名や略称があったりと様々です。
例えば文殊師利はサンスクリット語でマンジュシュリーですが、漢字では文殊師利(もんじゅしり)と書かれ、その略称として文殊菩薩と呼ばれます。まずは一番一般的な名称から覚えていただくのが良いかと思います。