仏像をアートとして楽しむというと、なにか仏像を軽んじてみているイメージを持たれるかもしれません。しかし決してそうではなく仏像の素晴らしさや奥深さを日常的に、楽しむということです。そして仏像だからといって罰が当たるとか近寄りがたいとは思う必要はなく、思い思いの場所にインテリアとしてお飾りいただければと思います。
仏像をアートとして楽しむ言葉として、「仏教美術」という言葉があります。
仏教美術とは、仏教の思想や信仰に基づいて制作された礼拝対象や、その荘厳のための建築、彫刻物、絵画や工芸などそれら全ての総称なので、仏塔や庭、伽藍に至るまで全て仏教美術といいます。仏教美術の歴史はというと、お釈迦様が入滅されたあと、その遺骨を納めた仏舎利塔に彫られた彫刻が最初だとされていますが、その後ギリシャを起源とするヘレニズム文化の影響等などにより、1世紀ごろからガンダーラでお釈迦様の記の場面やお釈迦様の仏像彫刻が作られ始めたのと同時期に、インド中央部のマトゥラーでも仏像が作られ始めました。
仏像の種類によっても様々なポーズ、立ち方や座り方がありそれぞれの働きによっても違いがあります。立っている立像(りゅうぞう)か、座っている座像(ざぞう)なのかを見てみて、そこから、何の種類の仏像か、手の動きはどうかを見ていき違いを楽しんでいただくのも良いかもしれません。
仏像とは非常に奥深い存在で、仏教の教理を体現した存在であり、生涯ずっとその奥深さを楽しむことができます。お経を読むことができない方々にとって、仏像は一目見ただけで仏教の有り難さや仏様の慈悲深さを感じることができます。
密教では、経典だけでは全ての教えを解かりえないので、仏像や曼荼羅で悟りの世界を視覚化するといった意味合いもあります。
そのお姿や形から仏教の教理を学ぶきっかけになれば幸いです。